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世代の比較

5つの世代を、設計思想・前提・限界・向いている用途で並べる。

一言でいうと

G0からG4を、設計思想・前提としているもの・限界・向いている用途の4点で並べる。

新しいほど優れているという表ではない。それぞれが何を得るために何を諦めたのかを示す表である。

この表の読み方

縦の並びは時間の順である。優劣の順ではない。実際、次のことが同時に成り立っている。

また、現実の製品は複数世代の要素を混ぜている。「この会社はG3である」という分類はできない

4点での比較

表:5つの世代の比較。2026年7月30日時点。優劣ではなく、何を得るために何を諦めたかを示す。
世代 設計思想 前提としているもの 限界 向いている用途
G0
経路教示
「どこを走るか」を設計時に解いてしまう。逸脱しないことが安全の根拠 路面に敷いた誘導インフラが維持されること。経路が変わらないこと 敷いた線の外を走れない。経路上の障害物は依然として停止を招く 専用道、構内、空港制限区域。積雪地帯やトンネルを含む経路
G1
モジュール型+HD地図
段に分けて各段を検証する。高精度地図で周囲を先に与える 地図が現実と一致していること。段の境界に必要な情報が含まれること 地図の整備範囲を出られない。境界で捨てた情報は復元できない 整備済みの路線。既存の安全論証の枠組みに乗せたい場合
G2
学習ベースのモジュール型
分割は保ったまま、各段の中身を学習に置き換える。俯瞰表現と占有表現 学習データが運用地域を代表していること。カメラの取り付けが安定していること 計算量が解像度の3乗で増える。無視してよい占有を見分けにくい 都市部のロボタクシー。2026年7月時点で商用運行の中心
G3
End-to-End/マップレス
段の分割をやめ、1つの学習系で扱う。地図に依存しない 学習データが十分に多様であること。評価方法が閉ループを反映すること 故障を切り分けられない。既存の分解型の論証に乗りにくい 地図整備が現実的でない広い範囲を対象にする場合
G4
世界モデル主導
学習と検証の主戦場を計算機の中に移す 生成したシナリオが現実を代表していること(示す方法が未確立 学習データにない種類のシナリオは生成できない。検証が循環しうる 他の世代を補う検証の道具として。単独での論証は提示されていない

レイヤーごとに見るとどうなるか

世代の分類は、レイヤーによって意味が変わる。同じ製品でも、認識はG2、計画はG3ということが起こる。

表:主要な4レイヤーについて、世代ごとの実装の違い。
レイヤーG0G1G2G3・G4
L02
測位・地図
誘導インフラを辿る高精度地図と照合地図への依存を減らす高精度地図に依存しない
L03
認識・予測
障害物の有無を判定検出・追跡・予測を段に分ける俯瞰表現と占有表現認識と計画の境界が消える
L04
判断・計画
経路追従と停止則ルールベースと最適化計画にも学習を入れる1つの学習系。言語を挟む設計もある
L11
検証・評価
経路単位の受入試験段ごとの単体試験シナリオベースとシミュレーション生成シナリオによる検証(妥当性の示し方は未確立)

ベンダーに「御社はどの世代ですか」と聞いても意味がない

聞くべきなのはレイヤーごとの実装である。次の4つが、世代の分類より実務的に役に立つ。

  • 「自己位置は何で決めていますか。誘導インフラですか、地図との照合ですか、その場のセンサだけですか」
  • 「認識はどういう表現を使っていますか。物体のリストですか、占有の格子ですか」
  • 「計画は人が書いたルールですか、学習したモデルですか。両方ならどこで切り替わりますか」
  • 「検証はシミュレーションと実路のどちらが主ですか。その比率は何%ですか」

どの世代にも共通していること

比較表は違いを並べたものだが、共通していることもある。

技術の選定より前に確認すべきことが、この4つには含まれている。

出典

一次情報を優先している。「区分」は、その資料が発行機関自身の公表物(一次)か、第三者による索引・複製(ミラー)か、解説(二次)かを示す。リンク切れに備え、発行者・文書名・日付を本文でも残している。

  1. Dauner, D. ほか/CoRL 2023(査読会議)Parting with Misconceptions about Learning-based Vehicle Motion Planning(開ループ評価と閉ループ評価が負の相関を示す。20年以上前に確立されたルールベースのベースラインが閉ループで当時の全ての最先端学習手法を上回った)2023年/区分:一次/参照日 2026年7月30日https://proceedings.mlr.press/v229/dauner23a.html
  2. 国土交通省道路局道路局における自動運転の取組について(実証の手動介入実数:路上駐車183回中169回が回避困難、積雪55回中41回が幅員減少により停止)2020年12月23日/区分:一次/参照日 2026年7月30日https://www.chisou.go.jp/tiiki/toshisaisei/mini_symposium/20201223/02_01kokkousyou_kouennsiryou.pdf
  3. RAND Corporation(Kalra, N. & Paddock, S. M.)/査読版は Transportation Research Part A 94:182–193Driving to Safety: How Many Miles of Driving Would It Take to Demonstrate Autonomous Vehicle Reliability?(RR-1478-RC。人間の死亡事故率と同等を故障ゼロ・95%信頼度で示すには2億7,500万マイル、20%改善の実証には110億マイル)2016年/区分:一次/参照日 2026年7月30日https://www.rand.org/content/dam/rand/pubs/research_reports/RR1400/RR1478/RAND_RR1478.pdf
  4. 福井県永平寺町自動運転車の運行について(レベル4・車両内無人。大人100円/中学生以下50円。運行主体はまちづくり株式会社ZENコネクト。車両の保証・保守期間が令和8年3月末で満了し、4月1日以降は当面運休)参照日 2026年7月30日/区分:一次/参照日 2026年7月30日https://www.town.eiheiji.lg.jp/
  5. 愛知製鋼株式会社GMPS(Global Magnetic Positioning System)。磁気マーカとMIセンサによる自車位置検知。位置検出精度±5mm、時速200kmまで追従、設置間隔2m〜10mの実績参照日 2026年7月30日/区分:一次/参照日 2026年7月30日https://www.aichi-steel.co.jp/smart/mi/gmps/
  6. Zhang, P. ほか/Sensors 21(7):2477(査読誌)Real-Time HD Map Change Detection for Crowdsourcing Update Based on Mid-to-High-End Sensors(専門計測車両による更新は高価で時間がかかると指摘。停止線の検知成績が悪いことを明記)2021年/区分:一次/参照日 2026年7月30日https://www.mdpi.com/1424-8220/21/7/2477
  7. Philion, J. & Fidler, S./ECCV 2020(査読会議)Lift, Splat, Shoot: Encoding Images from Arbitrary Camera Rigs by Implicitly Unprojecting to 3D(深度を離散確率分布として持ち、BEVへ写像する)2020年/区分:一次/参照日 2026年7月30日https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-3-030-58568-6_12
  8. Tian, X. ほか/NeurIPS 2023 Datasets & Benchmarks(査読会議)Occ3D: A Large-Scale 3D Occupancy Prediction Benchmark for Autonomous Driving(遮蔽で観測できない格子を評価から除くvisibility maskを導入)2023年/区分:一次/参照日 2026年7月30日https://proceedings.neurips.cc/paper_files/paper/2023/file/cabfaeecaae7d6540ee797a66f0130b0-Paper-Datasets_and_Benchmarks.pdf
  9. Hu, Y. ほか/CVPR 2023 Best Paper(査読会議)Planning-oriented Autonomous Driving(UniAD)。全構成要素を最終目的である計画に向けて最適化する。検出・追跡・地図・予測・占有予測を一つのネットワーク内に明示的に残す2023年/区分:一次/参照日 2026年7月30日https://openaccess.thecvf.com/content/CVPR2023/papers/Hu_Planning-Oriented_Autonomous_Driving_CVPR_2023_paper.pdf
  10. Wayve(企業公式)GAIA-3: Scaling World Models to Power Safety and Evaluation(150億パラメータの潜在拡散ベース世界モデル。方策の相対的な性能を予測できることが示唆されると記載)2025年12月2日/区分:一次/参照日 2026年7月30日https://wayve.ai/thinking/gaia-3/
  11. UNECE(国連欧州経済委員会)New Assessment/Test Method for Automated Driving (NATM) Master Document, WP.29-187-08e(ECE/TRANS/WP.29/2022/58)。仮想試験ツールチェーンの精度を実世界との比較で評価すべきと規定し、妥当性確認に用いたシナリオを超える外挿の根拠づけを要求2022年6月/区分:一次/参照日 2026年7月30日https://unece.org/sites/default/files/2022-05/WP.29-187-08e.pdf
  12. Chen, L. ほか/IEEE TPAMI(査読誌)End-to-end Autonomous Driving: Challenges and Frontiers(未解決課題としてマルチモダリティ・解釈性・causal confusion・堅牢性・世界モデルを列挙)2024年/区分:一次/参照日 2026年7月30日https://arxiv.org/abs/2306.16927

最終更新日:2026年7月30日。このページの記述は同日時点で確認したものである。

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